プロフィール
著者(PN):
月下香治
(かすか・よしはる)
Yoshiharu Kasuka

メール
y-kasuka@jewelryeyes.net


2011年9月16日

2012年3月15日



2011年11月16日(水)

キーボード水没の顛末

 10月1日にキーボードを購入しました。2ヶ月半もキーボードなしの生活をしていて、タイピング技術が衰えるのではないかと危惧していましたが、けっこう体が覚えているものでした。
 前回の記事で予告したとおり、キーボードが水没した経緯についてお伝えします。本当は、事の推移を事細かに述べ連ね、数回に分割して更新回数を稼ごうと目論んでいたのですが、『GUNDAM BAR MBASE4』のフィギュア販売コーナー「GUNS BAR ROSES」をマルチリンガルにすることを思い立ち、その準備を始めましたので、記事を書く時間がなくなってしまいました。そこで、今回の記事で詰め気味にお送りすることにします。
 2011年7月24日、地上波アナログテレビ放送が日本のほぼ全域で終了し、地上波デジタルテレビ放送に完全移行しました。当サイトでは、時期尚早であるとしてアナログ放送の停波に反対を表明していましたが、現実には特段の混乱もなくこの日が経過しました。MBASE4の友人には、特に準備せずにテレビを映らないままにしているのも数人いるようですが。
 それに先立つ6月6日、私が住む集合住宅が契約しているケーブルテレビ局では、(大阪ではデジタル放送の圏外になるKBS京都を除いて)アナログ放送がデジアナ変換によって供給されるようになりました。サイトでは停波に反対しておきながら、私自身は安全圏にいるということで安堵していたのですが、あらためてケーブルテレビ局のサイトを見て驚きました。デジアナ変換の放送を録画すると、コピー制限が付くというのです。
 それまでは、画面右上に表示される「アナログ」のロゴを除去するために、番組をいったんDVD-RWにダビングし、それをパソコンにコピーして編集してきました。デジアナ変換でも「デジアナ変換」というロゴが表示されるため、同じ流れで続けていくはずでした。しかし、コピー制限が付くということは、DVD-RWにダビングしたとしても、それをパソコンにコピーすることができないということです。
 何とかできないものかとネットを調べてみると、「キャプチャーユニット」というものに行き当たりました。これは本来、ビデオカメラで撮った映像をパソコンに取り込むためのものですが、ビデオデッキで再生している映像も取り込むことができ、しかもコピーガード信号も除去できるというものです。コピー制限技術を回避することは違法ですが、著作権法には但し書きがあり、技術が未達ならばコピーガード信号を載せずにコピーしてもその限りではないとしています。非常にグレーではありますが、ぎりぎり適法のようです(推奨はできませんので、詳しくはお話しませんが)。
 ということで、5月中にキャプチャーユニットを準備し、6月6日を待っていたのですが、6月6日になって実際にキャプチャーしてみると、音声が正常に取り込めていませんでした。パソコンのマシンパワーが足りなかったのです。インターネットの接続を切ってウィルス対策ソフトを終了させたりといった対策を施しましたが、変化はありませんでした。
 これは本格的にパソコンの改造、特にCPUの交換に挑まなければならないと考えました。まずはメモリを増設するついでにCPUの位置を確認し、その後、CPUを交換することにしました。市販パソコンのCPU換装は推奨されないのですが、このためだけにパソコン1台を買う余裕もありません。覚悟を決めて6月14日、2005年モデルのパソコン、VGC-M31B/WのCPU、Celeron 2.70GHzをPentium4 3.40CGHzに交換したところ、(アニメで画面がパンするところで映像が若干滑らかではない部分はあるものの)音声が正常に取り込めるようになりました。しかも、編集作業の過程がひとつ減った上、その他の作業も時間が2/3に減り、CPU使用率に余裕ができて、同時にネットを閲覧するというようなこともスムーズにできるようになりました(2時間以上連続してかかる作業がなくなりましたので、パソコンの前にほぼ付きっ切りになりましたが)。
 これでもう安心、2015年まではこの方法で回していけると思っていましたが、梅雨が明けたころ、取り込み中にプログラムが停止することが頻発するようになりました。観察していると、この現象は室温が26度以上のときに起こりやすいということがわかりました。
 CPUを高性能にした分、発熱量も多くなります(高性能な冷却ファンも一緒に購入したのですが、筐体に入りきらなくて交換を断念しました)。CPUが高温になると、電子の動きが阻害され、処理速度が低下します。他の作業ならばただ単に時間がかかるというだけのことですが、キャプチャーはリアルタイム処理ですので、処理の遅れがある程度(約0.5秒)以上になるとプログラムが停止するようなのです(CPUによって起こる現象は異なります)。一方で、節電のため、エアコンの設定温度を28度より下には下げられません。パソコンはエアコンの正面に位置しているので、実際のパソコン周辺の気温は28度よりも若干下回りますが、それでもまだ心許ありません。そこで、氷で直接パソコンを冷やそうと考えました。
 VGC-M31B/Wは一体型パソコンで、モニターを前に傾けると本体との間にV字型の隙間ができます。ここに氷を包んだスポーツタオルを挟み込んで、CPUを冷やそうとしたのです。この付近には本体内部に通じる開口部はありませんので、多少水が漏れても大丈夫だと思っていました。
 実際この方法でけっこううまく行っていましたが、それでも稀にプログラムが停止することがありました。そこで、少しずつ氷の数を増やしていきました。適切な氷の量を探ろうとしたのです。
 7月中旬のある日、映像の取り込みを終え、次の作業に取り掛かろうとしたところ、文字入力がスムーズにできないことに気付きました。やがて、文字入力領域には無関係な文字の連続が表示され、止まらなくなりました。キーボードに溶けた水が入り込み、勝手にスイッチが反応していたのです。デスクには数滴しか水が零れていなかったので油断していたのですが、キーボードの奥側の一端がモニターの真下に位置していたので、スポーツタオルに吸収しきれなかった水が伝い落ちて、キーボードにかなりの量の水がたまっていました。
 その後数日してキーボードは乾燥しましたが、まったく反応しなくなりました。キーボードが反応しなくてもパソコン自体は何の問題もなく動作し、ネットはマウス操作だけで閲覧することができますが、IME付属のソフトキーボードではShiftキーやCtrlキーの代わりにはならず、複数選択や範囲選択ができません。障害者用のスクリーンキーボードならば普通のキーボードの機能をすべて備えているのですが、それに気付くのに2週間かかり、その間メールの処理などに苦労しました。
 それからは、氷の数を控えめにし、スポーツタオルをもう一枚余計に挟んで、水漏れ対策を万全に図っていましたが、9月上旬に再び水漏れが起きました。今回はモニター輝度調整ボタンが作動し、輝度が最低レベルになってしまいました。こんなことがこれから何度も起こってはたまったものではありませんので、キーボードを取り外すことにしました。一体型パソコンのキーボードを取り外すことももちろん推奨できることではありませんが、ネットの記事を参考にして取り外すことに成功しました。パソコンにとってはあって当たり前のキーボードですが、繋いでいなくてもパソコンは正常に動作しました。そして、水漏れしても影響がないように、小さめのキーボードを買うことにしました。
 以上がキーボード水没の顛末です。地デジ完全移行に対抗して、乏しい資源を駆使して今までの生活を維持しようとした結果の大事故でした。モニターの輝度は純正のキーボードでなければパソコンからでも調整できませんので、今でも明るい部屋ではかえって見にくい暗いモニターで画面を見ています。
 秋になり、外気温が20度を下回ると、エアコンも氷も要らなくなりました。今から思うと、氷というのは単なる気休めで、気温と風の流れが適当ならうまく行けたのではないか、あるいは、CPU付近よりも電源付近を冷やすべきだったのではないか、という気もしています。推奨できないことを3度もしたのは、私がいかにパソコンのパワーユーザーとはいってもハードな体験でしたが、おもしろい経験でもありました。かなり出費が嵩んで、6月に予定していた日本橋散策が中止になりましたが。
 さて、次回の更新ですが、「GUNS BAR ROSES」の翻訳が終わったら、そのことについてお話ししたいと思います。いつ終わるかはまだわかりませんので、それまでに1、2回別の話題を挿むかもしれません。
 それでは、今回はそういうことで。


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